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さっき営業指導する上司に小部屋に呼ばれて行った。きっと今後の話だろう。
空いたデスクをぼんやり眺めていたら「宇田!」と声が飛んできた。小部屋の扉が開いている。
驚いた。僕も呼ばれた。
「――というわけで、営業補佐役頼むよ」
「よろしく!」
「は、はぃ」
上司の説明に面食らった間もなく、心に入り込む挨拶と筋骨隆々の腕が僕に向かって来た。
戸惑いながらも、初めての会話とともに、握手というスキンシップを取った。
普通は営業と営業事務、男女だけど、なんとなく後々社内でやっかいな関係になる要素がこの人から溢れ出してるのを上層部も察したのか、同性の何でも屋的内勤の僕があてがわれた気がする。勝手な予想だけど。
思わぬ展開でただただ驚いている。けど、同時に嬉しさがこみ上げる。
合法でこの気になる人を見倒して話して、情報も集められるんだ。毎日の仕事に張りがでるな。
明日からの業務にウキウキしている僕に
「宇田君、これからよろしくう。年下だけど大先輩だから頼りにしてるよ。あ、お近づきの印に、今日一杯いかない? 後輩だけど、奢るよ」
「え?!」
明日のウキウキが前倒しでもう今日来た!?
一も二もなく「喜んで!」って居酒屋みたいな返事をしちゃってた。
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