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落胆がバレない様に「いやーモテないし全然ですよ。そりゃ嫌いではないですけど」と僕も負けずの営業スマイルで社交辞令をしたのを皮切りに、怒涛の下ネタトークに突入した。
さっきの仕事の話より楽しそうで、嬉々としてる。なんだよ、トキメキがちょっとくすんだ。気になる年上の素敵おじ様が、年上なのにただのエロ後輩じゃないか。
でも思春期男子みたいな様子も可愛いな、と思ってしまう自分も居て、嫌だ。エロ後輩って心の中で呼んでやる。
「宇田君せっかく若いし好青年なんだからさあ、頑張りなよ!」
「そういう人生の先輩はどうなんですか? さそがし現役なんでしょっ。聞かせて下さいよー」
あんまりにもいけいけ攻撃してくるもんだから、質問返ししてやった。
ここから武勇伝は、あんまり聞きたくないけど、僕の情報収集癖に火が付いた。記憶のメモに全部書き留めてやる!
「『現役?』うー---ん……」
「あれ?」
脳内でメモとペンを握りしてめていた僕は拍子抜けした。あんなに饒舌だったのに、急にシュンとして口ごもったエロ後輩。
「どうしたんですか? 元気ない」
「あー-------やっと居たー-----!!!!」
なんだ?! 酔っ払い?
僕が項垂れた顔を覗き込んだと同時に背後から、大きな叫び声が聞こえてきて、二人して驚き振り向いた。
僕の背後には、酔っ払いどころかどうみても素面の若いガタイの良い青年が、エロ後輩の事をがっちり指さして仁王立ちしてる。
エロ後輩を見直すと、大きな身体をふるふるさせて怯えた仔羊の様。
「メェー---ェ……」
驚いてる様子で震える声帯から絞り出た無き声も、睨まれ竦みきっている。
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