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「信用したのに……信頼してたのに。心の中でずっと”エロ先輩”って呼んでたの、治療してくれるようになってから先生”に昇格したのに……」
「”エロ先輩”ってなんだよ! そんな風に言ってたのかぁ? 宇田君の前でやめてくれよ。俺の事誤解されるじゃねえか。なあ宇田君、びっくりさせてごめんなあ」
とうとう堪え切れずビールを噴き出した僕を心配してくれてるのは優しいけど、驚いたのはそこじゃない。隣のボクチャンと僕のネーミングセンスが全く同じな事にびっくりしたからだ!
初めての飲みでさっき心の中であだ名を付けたばっかりだ。エロ後輩って。ボクチャンはずっと”エロ先輩”って呼んでたらしい。感性被ってるのなんかやだー。
でもそんな表情をおくびにも出さず、都合がいい勘違いをさせたまま、僕はいじらしい素振りで「大丈夫ですよ」とエロ後輩に返した。
「いやにこのウダクンとやらに優しいんすね」
「そりゃ今の会社の明日からの相棒だからさあ」
「へーえそうなんすか。俺のこと途中で放り出してとっとと自分は新しい所で」
「放り出した訳じゃ……さっきボクチャンが言ってた信頼を俺もちゃんと感じてたさ。だからさあ」
「は? 言ってる事が真逆じゃないすか? 信頼感じて何も言わずに姿消すんすか? 先輩も俺の事大事に思ってくれてると思ってったのに」
「勿論! 大事に思ってたさ。だからあ」
「『だからだから』ってなんすか?!」
「あーもう、正直に言うさ! 最初はマジで純粋な気持ちでな、ボクチャンの病気を心配してた! 俺がちょちょっとして復活して失恋から立ち直って、またあっちが元気になったて新しい恋でもすりゃあなって」
「元気になりましたよ!」
「ボクチャンのソレがちゃんと勃った時、やめりゃあ良かったんだよ」
「でもそれは俺が先輩の指のお陰で勃ったけど、動画見ても自分でやってもイマイチで、治療続行お願いしたから」
「あぁ。ボクチャンの申し出に、『よっしゃ! 完全復活まで頑張るか!』って安請け合いした俺がさあ、悪かったんだよ。距離置かなきゃって思ったのもそのせいで」
「俺、先輩に甘え過ぎたんすか」
「違う違う、俺の問題。ボクチャンのケツ弄っててさ、治療のつもりがだんだんさ……俺もおかしくなってきちゃったんだよ!」
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