AIKO Part3

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「おお、センキュウ。お礼にこれ食ってくれ」 愛子なりの意訳をしたため提出すると、まだ読んでもいないのに料理長は愛子がいつも食べたそうにしていた胡麻団子を出来立てでプレゼントしてくれた。 もしもAIに翻訳させただけでこれを貰ったら後ろめたかったところである。自分で辞書を引いておいて良かった。 しかし 愛子が訳した文章通りに料理長が上手く手品を成功させられる気がしない。 料理長はきっとあの手品を自分の手でやってみたいのだ。 そのためにアメリカから文書を取り寄せるぐらいの熱があった。 だとしたら、その手品がやれなかったら愛子のミッションはコンプリートとは言えないのでは? もう報酬の団子は食べてしまった。おいしかった。なんだかひとり焦る。 ちょうどそんな折。それは一体奇跡なのか偶然なのか。 テレビで最近話題のマジシャンが、そのマジックを披露した。 愛子は目を疑った。 というか目を疑った。 プロもタネ明かし本を買うのかな?という驚きもさることながら、 そのパフォーマンスはあの解説文から手品素人が想像したのとはまったくの別ものだったのだ。 ストーリーが同じでなんとか気付けたものの あの説明のあれが 実際にやったらこうなるだなんて! タネ知ってても驚くわこれ。 マジックはタネを知っていても誰にでも出来るものではない と手品オタクなら知っている。 料理長にはそれが分かっているはずであって愛子があの時点で団子を食ってしまったことも 何らの問題はないのである!!
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