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毎週土曜の夜のルーティン。
サイドテーブルを挟んで二つ並んだセミダブルのベッドに入り、明かりを消すと、先週の録画のように隣のベッドから夫の智弘がこちらのベッドにやってくる。
薄手の羽毛布団の中に滑り込んだ夫の手がいつものように私の体を撫でる。
その手順も、ルールでもあるかのようにいつも同じ。
判で押したような、おきまりの性行為。
私が、この毎週のセックスに満足していると思っているから、敢えて同じにしているんだろうか?
ただ、夫がそう思うのも仕方ないかも知れない。
「奈月、もうこんなに濡れてるじゃん。そんなに気持ちよかった?」
暗闇の中で私の体を探り、夫が上擦った声で言う。
こんな愛撫程度で濡れるわけがない。
あらかじめ、ゼリーを仕込んでいるだけのことだ。
結婚したばかりの一年前、あまりに濡れなくて性行為が苦痛で、婦人科で相談したところ同情した顔の医者に勧められた方法だ。
後から、風俗の仕事をしている女性も行っている方法だと知って、笑うしかなかった。
夫に対して体を売っている。それもあながち間違いではないし。
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