1/4

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

今思えば、春もこうしてた気がする。 いや、夏か? 「秋だねぇ」 カーテンの隙間から、グラウンドを見下ろしたティーが言う。 日差しの透けた葉と緑色の髪が綺麗だ。 「そうだな」 いつの間にか空が高い。 赤や黄色に色付いた葉が風に揺れていた。 「気持ち良いね」 ティーは俺に習って空を見上げている。 「今日は晴れてるしな」 今日は塾のため部活を休む平介も、お洒落メガネをクイっと上げ、カーテンの隙間から空を見て言った。 放課後、窓際の席でカーテン越しに日向ぼっこしている俺たち3人。 窓の外では、サッカー部のコーヒーこと米田と白こと白野が何か声を張り上げながらボールを追っている。 アロマティカスは日差しが好きらしく、春と秋の日向ぼっこは良いらしい。 でも、夏の湿度は駄目で、冬の寒さも駄目。 比較的世話しやすいエコ・プラントらしいけど、もはや夏も冬も長くなってしまった日本だと、生き辛いんじゃないだろうか? 「平介んとこは何すんだ?」 「たこ焼き屋だよね?」 ティーが首を傾げ、平介は頷いた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加