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「何の話してたっけ?」 「関西弁の話」 「あー、そっか。終わったっけ?」 「あぁ、うん。終わったな」 ミーン、ミンミンミン… ジジジジジ… 沈黙を蝉の鳴き声が埋める。 うーん…これは……負けたな。 「降参、くっそ!また負けた!」 「ははは!結田くん、1番オセロ弱いね」 「昔から苦手なんだよ!」 「オセロくらい大丈夫だよ」 「全戦全勝の奴に言われてもな…」 「あはは!」 楽しげに笑う。 オセロした事ないって言うから教えてやったら、この様だ。くそっ!教えるんじゃなかった。 「……チョコミント美味い?」 「うん。罪の味」 「罪ぃ?」 「共食い的な」 「え?!」 「嘘嘘。オレ、アロマティカスだし。コレはミントだから別物」 ケラケラ笑っている。 「…だよな?」 「似てるから、オレの体もこんな味なのかな?って思ったりはするけど」 「おまっ…おまっ、怖ぇよ!」 揶揄われたのか本気なのか分からない。 ティーは、いつも大抵のことを楽しげに笑っている。 でも、GPSだか発信機だかを埋め込まれている時点で諦めてるようにも見えた。 「……不謹慎なこと、聞いて良いか?」 「ん?うん」 「もし……」 「うん」 「……いや、やっぱ無し」 「えぇ〜?そこまで言いかけたら気になるよ」 「いや、ごめん」 「うーん…言いたくないなら良いけど」 良いけど、と言いつつ納得してない顔で口を尖らせた。 『ティーが死んだら火葬して貰えるんだろ?』 なんて聞けなかった。 肯定でも否定でも、返事を聞いてしまったらどう返して良いか分からない。 ティーはもう切り替えたのか、共食いと称したチョコミントアイスを何でもなさそうに齧っている。 口が小さいらしく、なかなか減らないミントアイスは見えないところから垂れて来ていた。 ポタリ 華奢なティーの指を伝い、机に落ちる。 「あ、垂れてた」 気付いたティーが指で拭いた。 チョコとミントが混じった汚い色。 拭い切れなかったそれは、俺の言い表せない不安のような気がして。 「もー、ちゃんと拭けよな!」 大袈裟に言うと、誤魔化すようにティッシュで拭った。
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