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文化祭2日間で、喫茶店はかなり繁盛した。 エコ・プラントと人間のハイブリッドは予想以上の集客力があったらしい。ティー自身の外見や性格、雰囲気も一因だと思う。 ミントより優しいアロマティカス水も人気だった。 失礼な客にも終始笑顔で対応していたティーは、2日目の片付け中、借りたピッチャーを返しに行った家庭科室で倒れた。 いつまでも鍵を返しに来ないのを不審に思った家庭科の先生に発見されたらしい。 俺らが家庭科室に着いた時には、臨時で持って来た簡易ベットに寝かされたティーが、スーツに白衣を羽織った高身長の男に抱えられたところだった。 「失礼します。今後のことは後程」 処遇に怯える校長や教頭、家庭の先生に挨拶して去って行く。 関西弁のイントネーション。 『曲さん』だと思った。 切長の涼しげな目と一瞬目が合う。 「ティーは!ティーは大丈夫ですか?!」 咄嗟に声に出していた。 「君たちは…」 一瞬考えてから、あぁ、と頷く。 「矢吹程佳と親しくしてくれてありがとう」 そう言うと、静かに去って行く。 『と』の上がるイントネーションがいつまでも耳にに残っていた。
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