冬〜初冬〜

3/4

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
冬場の体育は嫌いだ。 何より寒い。 顔も指先も寒いを通り越して痛いし。 喉も血の味がする。 「何で、冬は、マラソン、なん、だ?」 「俺が、聞き、てぇ、よ」 2クラス合同で走らされる。 並走しながらの会話はちょっと辛い。 クイッとお洒落メガネを上げる平介の鼻と指先は真っ赤だった。 そう言う俺も赤い。 コーヒーと白はギャーギャー騒ぎながらなのにずいぶん先を走っている。 「辛い、のも、あれ、だけ、ど。マラソン、は、楽しく、ねぇ、よな」 「長、距離の、魅力、が、風、には、分から、ない、か」 「平介、は、分かる、の、かよ?」 「いや、全く。冬場、に、外の、意味、すら、分からん」 はははは、2人して笑う。 いや、分からねぇのかよ あと何周だっけ?と考えていると、 「ティー、は?見学、か?」 キョロキョロ見回しながら平介が言う。 「寒いの、駄目、らしい。だから、冬場、の、体育は、教室、で、特別、プリント、だと、よ」 「へぇー」 「どっち、が、良い?」 「いや、どっち、も、嫌、だけど。文系、お洒落、メガネ、としては、プリント、の、方が、マシ」 「文系!」 どの口が、と思わず笑う。 バスケ部でガンガンシュート決めるエースはどこのどいつだよ 「あれは、室内、だから、な」 「いや、ゴリゴリ、の、体育、会系、だろ」 吐く息が白くて、何なら雪も舞って来た。 早くノルマを終わらせようと、2人スピードを上げる。 途中追い抜かれたコーヒーが騒いでいた。 結局、4人団子になってゴールする。 別に競ってた訳じゃないのに、余裕かましててズルい、とコーヒーに怒られた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加