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矢吹程佳(やぶきてぃか)は不思議な生き物だった。 食事は普通にみんなと同じ物を食べる。 が、かなり少食。女子以下。 よって、小柄。 水分は全然取らない。 飲み過ぎると体調不良になるらしい。 「根腐れ?」 「うん。飲み過ぎたら根が腐るって。脳と頭蓋骨の間にアロマティカスの根が広がってて、性質はアロマティカス寄りみたい」 「はぁ?頭蓋骨は?!」 「詳しくは知らないけど、髪みたいに生えてくるから突っ切ってる、のかな?普通に問題無く頭洗えるけど」 アロマティカスは話の流れ的に頭のエコ・プラントの名前か? ってか、本人すら曖昧って大丈夫か? でも矢吹は気にしてなさそう。 ほらと頭を下げて髪の毛を掻き分ける。 緑色の髪の間、頭頂部らへんに集まっている葉っぱ。 カッパで言えば、皿の部分。 髪を掻き分けられ、ポロリと1つ、茎が折れて落ちた。 ミントの香りが強くなる。 「あ」 矢吹は机に落ちた葉っぱを拾う。 「お、落ちた!だ、大丈夫なのか?!」 「うん、どーぞ」 どーぞ、と折れたのを差し出して来た。 「いや、どーぞって…」 困惑する俺。 コーヒーはテンション上がってるし、白こと白野遥喜(しろのはるき)はコーヒーへの突っ込みに忙しい。 顔を見合わせたのは俺と隣に座っていた木嶋平介(きじまへいすけ)。 2人で差し出された葉っぱを見つめる。 肉厚の丸く小さな葉っぱ。よく見ると、ミントにちょっと似ている。白く細い毛が生えていて、サボテンの仲間みたい。
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