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「何でそんな普通なんだよ…」 「え?」 「何でって言われても…」 「…俺がおかしいのか?」 「何かごめんね」 急に謝られた。 わさりとまたアロマティカスが揺れる。 「あ」 ポトリとまた落ちた。 拾った葉を摘んだまま言う。 「オレには普通のことだけど、普通の人は戸惑うよね」 笑ってるけど寂しそうに見えた。 「いや!いや、うん。確かに戸惑ってるけどな!ちゃんと知っとけばいける!はずだ!」 両手に1つずつ摘んだ葉をもらう。 食堂にあるセルフのミネラルウォーターをコップに注ぎ、氷も入れて。 そこにアロマティカスを入れる。 「お!旨いじゃん!ミントより優しい感じか?」 「俺も1口」 ほい、と平介に渡した。 ゴクリと飲んだ平介も頷いている。 「爽やかで夏に良さそうだな。レモンの輪切りとか入れたい」 「オシャレだな!」 「伊達にコレかけてないからな」 ふふん、とお洒落メガネを指して笑った平介。 通常営業だ。 「で?」 「ん?」 「2つ目は?」 「2つ目?」 「あぁ」 脳内のペンを手に取る。 平介はスマホを開いた。 「2つ目は……ないよ?」 「え?」 「はぁ?」 「ないよ。言ってみただけ」 「はぁ〜、面白くねぇよ?」 「うん、ごめん。1個じゃアレかと思って」 「まぁ、良いか。とにかく、葉が落ちたり変色したら、成長し過ぎか、引きこもり過ぎか、湿度が高すぎか、水飲み過ぎ、ってことな。分かった」 納得する俺の横、平介は少し眉間に皺を寄せて矢吹を見ていた。
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