7人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっと終わった……」
時は放課後。いつも通り過ぎてあくびが出る授業の記憶なんて文字通り一切ない。
何か楽しい幻想を見ていた気がするが、きっと気のせいであろう。
ボクは授業をちゃんと受けていたはずだ。
そんなことは兎も角、ボクはそそくさと帰宅の準備をしていた。
各々部活動への準備を進めているが、生憎ボクはどの部活にも所属していない。
理由は単純で、推し事に時間をできる限り割きたいからである。
この学校の部活動は時代錯誤にも7時とか、それくらいまでやらねばならない。その上、気を抜いていたら居残りさせられるという地獄仕様。
だが、それを知らずに入部した哀れな新入生たちと違い幸いにも推し事主軸のボクはそんなことをいず知らず、そそくさと帰宅していた。
家に帰ると即座にPCを立ち上げ、メールフォルダを開く。
……僕にとっての『推し事』は一般にストーカーとかと言われるような部類だと思う。
一般的には推しを愛でる、みたいなイメージだ。ボクの父もそのタイプ。
だが、ボクは違う。ボクは──
「──……え、え?」
──僕にとっての『推し事』は、同じ土俵で仲良くなってから愛でること。
最初のコメントを投稿しよう!