9人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
既知との遭遇
ベントラーベントラー
スペースピーポー
物心ついた頃から僕は毎晩夜空を見上げている。星が大好きだ。いつか宇宙に行ってみたい。これだけ広い宇宙だ。絶対に宇宙人はいるはずだ。そう思いながら今夜も夜空を見上げ呪文を唱える。UFOを呼ぶという呪文を。
「え!」
突然空で何かが光った。と思ったらその光が物凄いスピードで高度を下げる。次の瞬間窓の外が真っ白になった。
すぐに外は暗闇に戻った。でもぼんやり紫に光っている所がある。河川敷だ。僕は急いで外に飛び出した。
河川敷に向かって走った。怖い。でも見たい。そんなに走ってないのに、もう心臓は飛び出しそうに暴れている。怖い、見たい、怖い、見たい。何があるんだろう。まさか、まさかUFO?
河川敷のグラウンドがぼんやりと紫の靄に包まれていた。その靄の向こうにはUFOが? 怖くて近付けない。僕は木の陰からグラウンドを伺っていた。
靄がだんだん晴れていく。僕は木にしがみつき固唾をのんで見守った。何が現れるのだろうか。
靄が消えるごとにグラウンドの様子があらわになる。だがそこにはただの土、いつも見る風景だけがあった。まさか靄だけで何もないのか? 既に靄は人ひとり隠れる程度にまで晴れていた。
もしかしたら花火か何かが飛んできただけなのかもしれない。ガッカリしながらグラウンドへ近付いた。
その時一陣の風が吹き靄はすっかりと取り払われた。そしてそこにはグレイが立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!