既知との遭遇

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既知との遭遇

 ベントラーベントラー  スペースピーポー  物心ついた頃から僕は毎晩夜空を見上げている。星が大好きだ。いつか宇宙に行ってみたい。これだけ広い宇宙だ。絶対に宇宙人はいるはずだ。そう思いながら今夜も夜空を見上げ呪文を唱える。UFOを呼ぶという呪文を。 「え!」  突然空で何かが光った。と思ったらその光が物凄いスピードで高度を下げる。次の瞬間窓の外が真っ白になった。  すぐに外は暗闇に戻った。でもぼんやり紫に光っている所がある。河川敷だ。僕は急いで外に飛び出した。  河川敷に向かって走った。怖い。でも見たい。そんなに走ってないのに、もう心臓は飛び出しそうに暴れている。怖い、見たい、怖い、見たい。何があるんだろう。まさか、まさかUFO?  河川敷のグラウンドがぼんやりと紫の靄に包まれていた。その靄の向こうにはUFOが? 怖くて近付けない。僕は木の陰からグラウンドを伺っていた。  靄がだんだん晴れていく。僕は木にしがみつき固唾をのんで見守った。何が現れるのだろうか。  靄が消えるごとにグラウンドの様子があらわになる。だがそこにはただの土、いつも見る風景だけがあった。まさか靄だけで何もないのか? 既に靄は人ひとり隠れる程度にまで晴れていた。  もしかしたら花火か何かが飛んできただけなのかもしれない。ガッカリしながらグラウンドへ近付いた。  その時一陣の風が吹き靄はすっかりと取り払われた。そしてそこにはグレイが立っていた。
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