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「ちょ、おま……っ、待て」
「待ちませんよ」
あの優しくて甘い声が今日はとんでもなく意地悪に聞こえる。
すでに勃ちあがってるそれが急に生温かいものに包まれる。下から舐めあげられたかと思えば、舌先で鈴口を割られ、先端の液を啜られる。急激に襲われた快感に意識がすべて持っていかれそうで体を震わせる。
「あっ……待っ…、や、マジで……っ」
「もう出ちゃいそうでしょ、いいんですよ、出して。全部飲みますから」
「や、やだって……っ、あ、駄目っあ…っ、あっ」
シーツを握りしめて、なんとか快楽を逃がしたかったのに、健闘むなしく、搾り取られるかのように、塩崎の口内に吐精した。イッたばかりのそれを舌先で容赦なく舐められ、くすぐったさともどかしさで、大介は身をよじる。
「おまっ……いい加減に、あ……っ、んっ」
「散々僕のこと煽っておいて、覚悟できてるんです?」
「悪かったって……」
ようやく塩崎から解放され、薄目を開けると、体を起こした塩崎は自分の指に口内に大介が吐き出した白濁を絡めている。舌先が唇をべろり、と舐めるその妖艶さにあの好青年の塩崎はどこにもいない。
「抱きたくないわけないでしょう。俺のものだって体中に印をつけて自慢したいくらい、あなたのことが好きで抱き潰したいってずっと思ってるのに」
「そっか、それならよかったわ」
「え……」
「ムカつくんだよ、あいつ。本当におまえのこと必要としてるってわかるし」
「梶田さん」
「俺はおまえのものじゃないのかよって不安なったわ、らしくねーだろ」
「俺のものに決まってるじゃないですか。誰にも渡しませんよ」
普段、僕、と言う塩崎が自分にだけは「俺のもの」だという。この特別感だけで幸せになってしまう。塩崎はそっと大介の頬にキスをする。鼻をかすめる青くさい匂いに、そんなもの口で受け止めるなよ、と恥ずかしくなる。でも本気で自分のことが好きだってわかるから、きっとこいつにとってはたいしたことないんだと思う。
「痛かったら言ってください」
精液でどろどろになった指を大介の閉じられた最奥に塗りたくられ、指でかりかりと入口を弄られたかと思うと、するりと侵入してくる。
「ん……っ」
「前、触らせてもらったときに、あなたの好きなとこ見つけたんです」
「あ……っ、ああっ、あ……」
突然の快楽に思わずのけぞる。誰も触れたことのないそんなところ、自分でも知らない場所をこいつだけは知っていて、指だけで掻き乱されてしまう。
「もしかして馴らしました?」
こくこく、と首を縦に振る。
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