真夜中

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声は濁流だ。 脳に留まらず流れてしまう。 (でも……馬鹿みたいに……) 自分の下で喚く「男」を抑える力が抜けてしまう。 グラグラ身体が揺れた。 (滅茶苦茶……安心した……) 視界が暗転する。 声が遠くなる。 気が遠くなる。 パトカーが入ってきたのが見えた。 警察官が二人走り寄ってくる。 暗くなる視界の隅で紺色の制服が慶太を抱えた。 「君……がんばったね」 そんな言葉に涙が溢れた。
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