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緋と蒼
大小さまざまな国々が割拠する大陸。策略と謀略、同盟と裏切り、共闘と騙し討ち。国々は存亡をかけてしのぎを削り、生き残りあるいは滅び、また新たな国が興る、いつの世も血と死の匂いが漂う大陸だった。
その中央、もっとも激しい争いが繰り広げられる地に、その二国はあった。
緋の国。炎と竜を象徴とするその国の兵士たちは荒い気性と勇猛さで知られ、命よりも名誉を重んじる猛者ばかり。集団での強襲と突撃を得意とし、一度斬り込めば最後、止められる者はいなかった。
蒼の国。空と星を象徴とするその国の兵士たちは厳しい規律と秩序で知られ、個よりも全体を重んじる精鋭ばかり。集団での迎撃と防衛を得意とし、いかなる時も一糸乱れぬ堅固な陣形を破ることは困難を極めた。
国境を接した二つの国はいつしか互いを宿敵と見なし合い、ことあるごとに争ってきた。両国の力量は互角。故に戦いは痛み分けばかりで、そのたびに多数の犠牲を出した。その上、弱ったところを周辺国から攻められてさらなる被害を受けた。それでも両国は決して敗亡することなく、敵を退けては再び力をつけ、また争った。
戦乱の続く大陸の中でもひときわ血生臭い二国に――二人の傑物が現出した。
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