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2話
う〜ん。そう簡単に冒険者になるとか言っても正直のところ、どうすればいいのか分からない。
そうだ、書庫に行けば何かわかるかな。
グウッ~! お腹も空いたし、書庫に向かう前に腹ごしらえをしようと、私は朝食をとりに食堂向かった。屋敷内の構造はマリーナの記憶があるから迷わない。
屋敷の2階にあるマリーナの部屋から、1階の食堂へと向かった。ついた食堂は乙女ゲームで見たことがある、真っ白なテーブルクロスがかかる長方形のテーブルで、真ん中にはロウソク立てと生けられた花、天井にはシャンデリア、暖炉があった。
(ここが、異世界の食堂かぁ~)
だけど食堂のなかには誰もおらず、がらんとしていて、1人分の料理がポツンとテーブルに置かれていた。忙しい両親とは時間が合わず、マリーナはいつも部屋か、食堂で1人食事をとっていた。
1人なのには他にも理由がある。好き嫌いが多くわがままなマリーナ。彼女はメイドと同じく、何人もの料理人を辞めさせている。だからか公爵家へ働きにきてくれるメイド、料理人がいない。
お父様は仕方がなく、領地で定食屋をやっていた一家に頼み、住み込みで働いてもらっているのだ。
私は準備されている、朝食の前に座った。
(んん、いい匂い)
このマリーナの朝食はいつ、用意されたのか分からない、だから料理は冷めているだろう。……ううん、作ってもらえるだけありがたい「いただきます」と、1人で手を合わせてパンを手に取っりかじった。
サクッ、え、パンがサクサク……焼き立てのように温かい、どうして? 私はパンを手に朝食を眺めた。
あ、食器を置くランチョンマットに、ファンタジーゲームで見たことがある魔法陣が見えた。だとしたら、このランチョンマットには料理を冷めなくする、魔法が掛けられているの⁉︎
うそ、うそ! スプーンを持ってスープを飲んだ。……スープもあったかい。すごい、すごいわ、私はパンをもう一口かじった。サクサクに焼かれパンには、たっぷりのパターが染みている。
「……んん、美味しい」
野菜とソーセージの旨味がたっぷりのスープは優しい味、ベーコンエッグ……どの料理も美味しい、残すなんてもったいない。マリーナはこんなにも美味しい料理を嫌だと、食べずにいたなんてほんと勿体ないよ。
それに私、手作りの料理を食べるのは久しぶりだった。
「おいしかった、ごちそうさまでした」
両手を合わせて、作ってくれた人に感謝をした。
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