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4話
書庫で、冒険者の本を読んだ私はその本に載っていた魔石が気になり。お風呂場、自室をくまなく探したが、それらしい魔石を使用した装置は見つからなかった。
(でも、お風呂は火を使っていないのにお湯が沸き、トイレも水が流れるし、勝手に電気が付く……これ全部、魔石(魔結石)を使用しているのだと思う)
乙女ゲームは学園に入学してから始まる、マリーナはいま9歳、学園が始まるまで6年はある。その間に淑女としての知識も必要だと思うけど、面白そうな魔法など色々身に付けたい。
次の日。
朝食の後、珍しく食堂にいたお母様が白い封筒を渡した。その受け取った封筒を確認すると、王家の紋章が入った封蝋が押されていた。
――なぬ? 王家からの招待状?
「お母様、これはなんですか?」
「それは1週間後に王城で開催される、デリオン殿下の誕生会の招待状です。あなたも招待されました……当日、旦那様とわたくしは忙しいので、マリーナは1人で参加になります。よろしいですか?」
……1人。
「はい、わかりました」
両親は王城で仕事はしているけど、忙しくて参加できないとい。前世の両親も授業参観、体育祭、忙しいからと言って来なかった。大丈夫、1人は慣れている。
「……マリーナ、いってくるわ」
「いってらっしゃい、お母様」
お母様が椅子にかけていた、真っ白なローブを羽織り食堂を出るとき、一緒についていく大型犬が見えた――え、犬? もう一度確認するとお母様の横を歩く、ドーベルマンに似た犬がいた。
その犬は私が見ていることに気付き、尻尾を大きくゆったり振ってくれたので、私も手を振り返した。
(可愛い、お母様は大型犬を飼っているのね)
私の様子に、お母様は振り向き驚いた様子だったけど、何も言わず食堂を後にした。
食堂で朝食を取った後、私は自室のベッドに寝転び、受け取った招待状をながめていた。
「デリオン王子の誕生会の招待状かぁ~」
デリオン・ロベルト――彼はこの乙女ゲームのヒーローで攻略対象だ。……それにしても招待状が来るなんて、珍しいという言葉がピッタリはまる。だって、6歳から3年間もの間デリオン王子の誕生日会に私、マリーナは呼ばれていない。
なぜ、呼ばれなかったの?
それなのに、いまになって呼ぶの?
(あ、わかった!)
9歳といえば、マリーナがデリオン殿下の婚約者に選ばれる歳。たしかゲームだと、誕生会から2ヶ月後、マリーナは婚約者に選ばれて。次の年から王妃教育が王城ではじまったと、設定資料には書いてあった。
……あちゃ、重要な事を忘れていたよ。
でもマリーナは悪役令嬢で、学園卒業にどうせ婚約破棄される運命。自分が乙女ゲームをプレイしているときは、一番の推しだったけど――なんだか複雑な気分。
それに王妃教育も面倒に感じる。王子の婚約者になってしまったら、自由に行動できなくなる。
この1年間の間に、色々覚えなくっちゃ。
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