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愕然と凝視するが、死神は文句を言っているだけだ。
「死ななかったのは口をすべらした私の責任とか。重たすぎ。大体一度生き残ったら、次とか遠いみら――もうっこれ以上喋らせないでよ!」
「お前が勝手に喋ってるだけだろうが」
濡れ衣だ。
勝手に自滅しているだけの死神は頬を膨らませて、雅人を睨みつける。
お前が悪いと一蹴したいが、彼女より精神年齢上だと自負しているので大人の対応として黙る。優しさを噛みしめろ。
つまり、だ。
雅人が死ぬまで彼女は雅人から離れられない。
そして死ぬのは遠い未来らしい。それは天寿を全うする意味なのかは定かではないが。
じゃあなにか、俺はこれからずっと。
想冷や汗が吹き出る。ぎぎっと首を動かして死神を見つめた。
死神は勝手に覚悟を決めたらしく、気合いを入れるように己の両頬を軽くぱん、と叩く。それから雅人にニコっと笑って、いつも通り無駄に明るい声音で。
「つまり――これからもよろしくってことです」
語尾にハートマークをつける勢いでウインクした死神に、雅人はついに卒倒した。
彼女との奇妙な生活は、これからもずっと、それこそ死ぬまで続くらしい。
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