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ある日、兄弟が増えた。2人。俺より小さい、10歳の男の子と8歳の男の子。
突然だった。親が再婚する事は知っていたが、子供がいる事は知らなかった。
「よろしくね」
「「…」」
返ってくる返答はない。まあそれもそうだろう。初めて会うんだし、まだ幼いのだから。
そしてまた、突然のこと。
親2人は膨大な金とでかいこの家を残して、この世を去った。
新婚旅行だった、飛行機の墜落事故。唯一の救いは親が金を置いていってくれた事。
だが、その資産を奪おうとして来る親族達がいた。君はまだ高校生だから、うちで引き取るよ。なんて言って来たが、全て丁重に断った。
俺には面倒を見なくてはいけない子が2人もいるし、正直言って大変だ。それでも、親族の家になんて引き取られたらどんな扱いを受けるかわからない。
特に葬式の時は酷かった。本当に母や義父には悪いと思うが今後の事を考えて出来るだけ葬式は小さく行った。
それにも関わらず、どこで聞きつけて来たのか知らないが呼ばれてもないのに葬式に来て俺に言い寄って来る奴らもいれば、泣いていた小さい2人に漬け込もうとする奴らもいた。
「結構です。間に合ってます。」
俺はこれだけを呪文の様に唱えて葬式を終わらせた。俺には、泣く暇もなかった。でもきっと葬式当日の日は昨日泣いた痕が目元に残ってただろう。
葬式終わりの夜のこと。
「あぁ…」
どうしようか。高校をやめて、2人のために働く…?
でも、お金は俺と2人が進学したとしても余る程ある。
「……たまきさん。俺ら家出てかなきゃならないですか?」
急にそんな声が横からして俺は突っ伏していた身体をすぐに上げた。そこには齢10歳になる瑠衣がいた。
「っ…、大丈夫だよ、気にしないで。今日は疲れたでしょ。もう寝よう」
「で、でも…」
俺はほぼ無理矢理彼を寝室へと連れて行き、寝かせた。
この子たちは俺が守らなくてはならない。もっと、俺がちゃんとしないと。
明日銀行へ行こう、あとスーパーも行かないと。2人にはちゃんと防犯ブザー持たせて…
俺は明日からやる事、いや、やらなくてはいけない事をリストアップして就寝した。
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