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親が死んでから、早2週間が経った。
「金出せよ!おら、早く!!」
カツアゲだ。本当ツイてない。
「…持ってません」
今日は丁度スーパーで買い物しようとしてたから一万円が財布に入ってる。
結局、持ってませんなんて通用するわけなくて俺はボコされた挙句、金を奪われた。ああ、もう…不幸なことばっかりだ。
ずるりと肩から落ちる鞄とカーディガンを持ち上げて俺はスーパーではなく帰路へと向かった。
「きったねぇ!みんな近寄ると母さん死んじまうぞ!」
帰路に入り、公園からそんな声が聞こえた。嫌な予感がする、こっちの帰路は2人の帰り道で、小学校からも近い。それに、
『母さん死んじまうぞ!』
……、
ちくりと少しだけ心臓が傷んだ気がした。
俺が急いで公園に入ると予想は的中した。瑠衣が年下の秀太を守る様に立っているではないか。
「何してんの?」
俺はそう笑顔で俺より一回り小さいいじめっ子に視線を落とす。傷だらけな顔と汚い制服を見て、いじめっ子たちは叫び声を上げて走っていなくなる。
「大丈夫か、2人とも」
そう言って俺が振り向けば、俺に脇目も降らずに瑠衣が秀太を慰めていた。……あぁ、良い兄って、こう言うこと言うんだろうなぁ。
そこで俺はあることに気がつく。
「…!秀太怪我してるのか。見せてみろ」
そう言うと瑠衣が俺の顔を見てびっくりした後におずおずと秀太を離す。
「いだいっいだいっ」
そう言ってえぐえぐ泣いている秀太。膝から血が出ている。
「おどおざん、おどおざぁん」
……、そうだよな。怖いよな。俺も、怖いよ。守ってくれる人がいなくなるのって。
「秀太おいで、膝水で洗おう」
俺がそう言って秀太を抱っこすれば秀太は少し泣き止む。多分、抱っこしてくれたお父さんを思い出してるのだろう。
「瑠衣ついて来れる?怪我してない?」
「だ、大丈夫…」
俺は水道の前で秀太を下ろし、傷を洗ってタオルで拭いて持参している大きな絆創膏を貼ってやった。
「よし。家帰るか。ほら秀太、抱っこしてやるからおいで」
そう言えば、素直に秀太は俺の元に来る。秀太を抱き上げて、石を蹴りながら待っていた瑠衣に手のひらを差し出す。
「…え?」
「手、繋ぐか?」
にこっと笑ってそう言えば、瑠衣はどうすればいいかわからなさそうにおずおずしていた。
質問するのは間違えてたか。と俺はくいっと瑠衣の手を引っ張った。
「今日は何食べたい?」
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