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家の冷房を効かせ途中のリビングで拗ねて体育座りをしている秀太。
瑠衣は買った漫画を椅子に座ってダラダラ見ている。
「秀太、今から冷蔵庫に買ったの仕舞うから手伝ってよ」
そう言って台所から呼びかけると、瑠衣は少し機嫌を直した様に俺の元にかけて来る。
2人で冷蔵庫に食材をしまって、洗濯畳みをする。
「たまちゃんたまちゃん!これなんだ!」
そう言ってすっかり機嫌が治った秀太が俺に女の子がプリントされてる寝巻きをを見せてくる。
「んー…、プリキュア?」
「正解!!おれが大きくなったらプリキュアなってたまちゃんの事守ってあげるね!」
「ありがと」
そう言って秀太の頭を撫でれば秀太はえへへと笑った。
どうやら秀太は可愛いものが好きな様だ。少女漫画に関してもだが。
「……、兄さん、俺も手伝う」
そう言って横から瑠衣がくっついて来た。少し膨れているのはなんでかわからなかったけど3人一緒で洗濯物を畳んだ。
兄弟っぽいな。
☆☆☆
秋に差し掛かった頃、ゴミ箱に捨ててあるプリントを見つけた。
「……授業参観?」
俺は夕食中、瑠衣に聞いてみることにした。
「今度の土曜日授業参観あるんでしょ?」
「えっ!な、なんで知って…」
「ゴミ箱に捨ててあったからさ」
秀太はそんな事を気にも止めず黙々とご飯を食べてる。
「俺でよければ行くよ?」
「で、も…、」
もごもごとする瑠衣。
結局、瑠衣は渋々と言った感じで同意してこくりと頷いた。きっと迷惑かけたくないが為に出さなかったんだろう。なんて良い子なんだ。
秀太が手紙を出さなかったのは多分手紙の存在自体を忘れてたからだろう。
土曜日、周りから変な目で見られない様に、パーカーとかじゃなくてちゃんとした服を着て、髪の毛もちょちょっといじくった。まず瑠衣の所に行くと、丁度瑠衣が発表をしていた。
すいません、すいません。と保護者の前を通って瑠衣の1番近い所に行った。瑠衣はちゃんと正解して、席に座る。
俺は1人嬉しくなって笑顔で1人で手をペチペチ叩いていた。
休み時間になり、瑠衣がこっちを見て俺に気がつき、近寄ってくる。
「瑠衣凄いじゃん、正解してて」
「あんなの……、いや、うん。難しかった。帰ったらご褒美欲しい」
ご褒美とはぎゅーの事を言ってる。甘えるのが下手な瑠衣に俺が提示してあげたご褒美だ。本当にご褒美になってるかはわからないけど。
「あのー…瑠衣くんのお兄さんですか?」
そう言って聞いて来たのは瑠衣の友達らしき女の子。
「?うん、そうだよ。いつも瑠衣の相手ありがとう」
にこりと笑うと女の子はきゃーっと女の子たちの群れに戻ってく。俺は平凡顔だが、女の子からしたら年上のお兄さんってだけでだいぶなレッテルなんだろう。
「……兄さん。兄さんは僕の兄さんだよね?」
急にぎゅっと俺の手を握ってそんな事を聞いて来る瑠衣。
「?うん、当たり前でしょ」
そう言って頭を撫でてやればえへへと笑った。今日も俺の弟は可愛い。
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