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次の時間は秀太の所に行った。いないなーと思っていれば秀太は寝てるではないか。昨日夜遅くまで女の子の服を描いてたのを俺は知ってる。寝ろ、と言おうかと迷ったが、そっとしておく事にした。でもまあ一応は忠告したけどね。
その授業が終わり、予鈴が鳴るとばっと秀太は起き上がって後ろを確認する。俺を見つけると机に引っかかりながら駆け寄って来た。
「たまちゃん!」
ぎゅっと俺の首に抱きつく秀太。
「ぐっすりだったね秀太。先生の話聞いてた?」
「!み、見てたの!?」
「うん、ばっちり」
そう言うと秀太はバツが悪そうにうぁあ、と言って
「つ、次は起きてるから見てて!」
なんて言い出す。
「はいはい、じゃあいてあげるからちゃんと起きて授業受けるんだよ?」
「うん!」
その次の授業は、寝ない様にしてたみたいだけどめっちゃ眠そうだった。かくかくして、首振っての繰り返し。
手を上げたと思えばちゃんと外すし。でもそんな所も可愛い。
最近親バカになりつつある俺は弟達が可愛く見えてしょうがない。もう世界一可愛い。
その日は家まで3人で帰った。母さん父さん、俺良い兄できてますか?それだったら、いいなぁ…
☆☆☆
時間が経つのは早いもので、俺は大学生3年、2人は高1と中2になった頃だった。
秀太は反抗期真っ盛りだ。
「秀太ー、忘れてるよ」
そう言って体育着を家を出ようとしてた秀太の元に持ってく。
「っ!わ、わかってる!」
そう言って奪う様に体育着を受け取ると、家をそそくさと出ていった。
「……」
ちょっと、しょんぼり。
そうしていれば後ろから肩に手を置かれる。
「兄さん、大丈夫だよ。反抗期なだけ」
すっかり俺より背が高くなってしまった瑠衣がそう言って笑う。
「うん…そうだよね」
俺がそう言うとこくりと頷く。
「それじゃあ、行って来ます。今日は何時頃になりそう?」
「あー…10時くらいには帰る」
そう言えば、わかったと言って家を出て行った。なんだか2人ともすっかり大人だ。俺が怖くなるくらい成長が早い。2人とも筋肉がついて来て、背も伸びて来てる。現にもう秀太には並ばれて、瑠衣には抜かされた。
それでも、俺の弟達は結局可愛い。
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