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秀太が反抗期を抜けると今度は俺にべたべたしてくる様になる。
「たまちゃん、俺高校なんて行きたくないよ〜」
ご飯を作ってる俺の後ろから抱きついて擦り寄ってくる。中3になった秀太は最近成長痛が痛いらしくて良く俺の部屋に来てはトントンして欲しい、と布団に潜り込んでくる。
まだまだ俺の弟でいてくれる事への嬉しさと、こんなんで大丈夫なのかと言う不安が同時に湧き上がってくる。
「勉強嫌い?」
「嫌いじゃないけどぉ…俺、お洋服考える方が楽しいよ」
「洋服を作るにも計算とかしなきゃいけないよ」
そう言えばそっかぁ…と秀太は俺の肩に擦り寄った。
「じゃあ俺が作ったお洋服たまちゃん着てくれる?」
「いいよ。楽しみだなぁ秀太の作る服」
俺が笑いながらそう返せば秀太はへへっと笑って部屋に戻って行った。
その日、秀太は友達と遊ぶ約束があるらしく家にいない。俺はご飯を作って、瑠衣が帰ってくるのを待つ事にした。
「…ーさん、にいさん」
声がして俺は身体を起こす。そこには帰って来た瑠衣がいた。
「おかえり瑠衣」
俺は笑って作ったご飯を電子レンジに入れる。
「兄さん、別に待たなくてもいいよ」
「俺が待ちたいんだよ」
2人で飯を食った後俺は風呂に入ってリビングで本を読む。瑠衣に後ろから抱きしめられながら。
普通の兄弟はこうする物だって、瑠衣が言って来たからしている。普通に考えてそんな事するわけないが、甘え下手な瑠衣のために俺は快く受け入れた。
「兄さん甘い匂いするね」
「風呂入ったばっかりだから」
「そうじゃないよ、兄さんの匂いだ」
俺の匂いが甘い?なんで?
まあいいか、と俺は瑠衣の子供体温を感じながら本を読み、いつの間にか眠りに落ちて居た。
「……ーから、……じゃな…て。」
「お…えがー……、」
「ー…ん、それ…い…よ」
2人の声がする気がする。声色が重たい様な。いや、軽い様な。
「喧嘩は、駄目だからな…」
夢の中だろうと2人が喧嘩しているのを見るのは嫌だ。
俺はちゃんと注意した。俺今お兄ちゃんっぽいでしょ?
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