待ち合わせはノジコで

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「暑い……」  体調不良で会社を早退し、近所のディスカウントストア、NOJIKOのイベントスペースでソフトクリームを食べていた。ノジコという黄色のボディーが可愛らしい、スズメに似た野鳥が店名の由来らしい。その野鳥がモチーフであるノジロウ、ノジコというマスコットキャラクターは子供達に人気だ。マスコット達の顔出しパネルに子供達が我先と顔を出しては笑い転げていた。母親がシャッターチャンスを狙い、子供達にじっとしている様に声をかけるが全く言うことを聞いてない。 「元気だなあ」  生理痛のせいで頭痛と身体の怠さがあるが、夕方からベッドに横たわったら絶対に寝てしまい、夜に眠れなくなってしまう。そのため、ひとりソフトクリームを食べている。いや、単に甘い物が好きなだけなのだが。  そこに、中学生らしき少女が学生鞄を脇に挟み、こぼしそうになりながら桃のかき氷を持って隣のベンチに座った。 「お姉さん、ソフトクリーム垂れてるよ」 「え? あっ、やだもう」  慌ててティッシュでスカートに落ちたソフトクリームを拭き取る。人のことを心配して自分が粗相するとかあり得ない。 「ありがとう」 「いえ」  カレンダー上では初夏とはいえ、すでに30℃を超える日々が続いていた。
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