人事を尽くして

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 その時、赤子が大声で泣き出した。 「目を覚ましました。診たところ異常は有りませんね」  両親が安心して涙を流す中、道行は自分が見た一部始終を久遠に耳打ちした。  そして、久遠が診ていた時には、すっかり闇が無くなっていたことも伝えた。  久遠は診察料をもらわずに親子を帰した。  後日、道行が街を歩いていると、黒い煙を背負った老人が立ち止まっているのを見つけて、駆け寄った。 「すみません。大丈夫ですか?」 「いえ、ちょっと休んでいるだけでして……あれ? ああ、もう平気です」  ()いていた闇が消えた老人を見送って、道行は確信した。  俺は憑き物を落とせる。きっと、俺が立ち向かう災いは憑き物退治だ。
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