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「先生があえて霊験を使わせなくても、アイツは自分の持ち物だからと上手く使おうとする。そんなの一番近くで目にしたでしょう」
そして、それは道行だけじゃない。
久遠の周りには、己に与えられた力と世界との関わりを探究する者が多くいる。
「あの子たちの正義感は美徳だ」
「正義感が迷惑となる場合もありますが」
茶化す秋世に久遠が顔の正面を向けた。
「全く君は……しかし、今回の仕事は命懸けだ。この点でも道行を近付けたくはない」
「よう言いますね。離れた場所でみつやんは取り憑かれて、人の動きじゃない暴れ方をするだろうに。そちらの心配は?」
「しているとも。でも、千代は場数を踏んだ君が近くにいてくれる。道行のそばには雨宮さんがいるけど、彼女には近隣住民の安全の確保も任せただろう?」
「アイツは陰陽頭になった器です。信頼しましょうや」
躊躇いの息遣いはあったが、久遠はそれ以上の抗議をしなかった。
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