不思議な物語の短編集。

4.うわさの交差点

私は今日も、外に出かける。

お気に入りのワンピース、広告を見て買った靴、黒い帽子。

このご時世だもの。少し大きめのマスクをつけて小顔効果に期待。

サラサラの長い髪の毛を風に靡かせる。

ああ、あんなところに可愛い男の子。もう夕方なのに。

早く帰らせるのは私の役目

「ねぇ」

「…はい？」

「私、きれい？」

ほぉら。すごく早く走って行った。

私の特技なの。人間を早く帰らせるのは。

子供でも大人でも、ここはアブナイ。

そろそろ、ワタシタチの宴会場なの。

ほら、祭囃子が聞こえてきたわ。

あなた、まだいたの？もう帰らないと。

「ねぇ、私きれい？」