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もっとも彼女が口にした全容は、『将さんって……一見すると色素が薄くて儚げな印象なのに、実際に話してみると言葉遣いが割と粗暴で、結構豪傑なところがあるんですよね。初対面の時は色々猫を被ってらしてまんまと雰囲気に騙されてしまいましたけど、気が付いたらそう言うところにも惹かれていたんですよ? いわゆるギャップ萌えというやつなんでしょうね』だったりしたのだが。
『――咲江は特に、ベッドでの私の豹変ぶりに驚かされたんだっけね?』
ククッと笑いながら問えば、真っ赤な顔をして『〝俺〟になった将さんは強引で意地悪で……私、いつも泣かされてしまいます』とどこか拗ねた顔をしたものだ。
でも、『そういう私はイヤかい?』と聞けば『……いいえ』とはにかみながら答えてくれた。
(そう言やぁ深月の前でも〝俺〟が出ちまってたよな……。怖がらせたりしてねぇだろうか)
今更のようにそんなことが気になって。
無意識に深月の柔らかな髪の毛に指先を梳き入れて、あやすように頭部を撫でれば、深月がくすぐったいみたいに小さく「んっ」と吐息を漏らした。
(あー、これは良くねぇな……)
これ以上無防備な姿を晒されては、またしても不用意に触れたくなってしまう。
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