20.少しずつで構わねぇから【Side:長谷川 将継】

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 もっとも彼女が口にした全容は、『(まさ)さんって……一見すると色素が薄くて(はかな)げな印象なのに、実際に話してみると言葉遣いが割と粗暴で、結構豪傑(ごうけつ)なところがあるんですよね。初対面の時は色々猫を被ってらしてまんまと雰囲気に(だま)されてしまいましたけど、気が付いたらそう言うところにも惹かれていたんですよ? いわゆるギャップ萌えというやつなんでしょうね』だったりしたのだが。 『――咲江(さきえ)は特に、ベッドでの私の豹変(ひょうへん)ぶりに驚かされたんだっけね?』  ククッと笑いながら問えば、真っ赤な顔をして『〝俺〟になった将さんは強引で意地悪で……私、いつも泣かされてしまいます』とどこか拗ねた顔をしたものだ。  でも、『そういう私はイヤかい?』と聞けば『……いいえ』とはにかみながら答えてくれた。 (そう言やぁ深月(みづき)の前でも〝俺〟が出ちまってたよな……。怖がらせたりしてねぇだろうか)  今更のようにそんなことが気になって。  無意識に深月の柔らかな髪の毛に指先を()き入れて、あやすように頭部を撫でれば、深月がくすぐったいみたいに小さく「んっ」と吐息を漏らした。 (あー、これは良くねぇな……)  これ以上無防備な姿を(さら)されては、またしても不用意に触れたくなってしまう。
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