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確かに身体は依然としてしんどいし、泥のように寝ていたい気持ちもある。
だが、もし深月が今そのつもりになって誘い掛けてくれたなら、気怠さなんてすべて無視して彼を押し倒すくらいは出来てしまえる気がするんだよ。
だってほら、下着の中で私の意思に反してやたら元気になりかけてる〝やつ〟もいるわけで――。
まぁ、それは言い過ぎだとしても、だ。
正直飯は食わなくても深月に添い寝してもらえる方がよっぽど嬉しいと思う程度には、私ん中は下心で一杯なんだ。
だがまぁ、これ以上深月を私のそばに留め置いて風邪をうつすのも本意ではなかったし、だったら粥を用意して来てもらうついで、窓を開けて換気してもらおうかな?と思って。
季節柄、窓を開ければちと寒いが、まぁ布団をかぶっていれば平気だろう。
襖に手を掛けた深月に、私は『部屋を出る前に悪いが窓を開けてくれないか?』とお願いしようとして。
意を決したように振り返った深月に、その言葉を口にする前に中断された。
「……あの、将継さん……。朝の僕は……あんなことして、軽蔑……されて、しまいましたか……?」
一瞬何を言われたのか理解が追い付かなかった。
でも、すぐにユラユラと不安そうに揺れる深月の視線を見て、言葉の内容に追い付いた私は、無意識のうちに「まさか」とつぶやいていた。
「確かにちょっとびっくりはしたし……その、事故とは言え私のを飲ませちまったのは申し訳ないって思ったけど。深月に対して嫌悪感を抱くようなことは微塵もなかったよ。それよか、むしろ……」
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