20.少しずつで構わねぇから【Side:長谷川 将継】

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 そこまで言って言うべきか否か少しだけ逡巡(しゅんじゅん)してから……私は言わずにおくのはフェアじゃないなと判断した。 「私の方こそ……深月(みづき)の過去を知ってるくせに手荒な真似をして引かれてねぇかとか……結構不安なんだけど」 「えっ?」 「ほら、雰囲気に流されて深月の後ろへ挿入(いれ)ようとしただろ?」 「……っ!」 「正直なぁ、先生っての? 深月が好きって相手。そいつに嫉妬したんだわ。心があっちにあんならとりあえず身体だけでも……みてぇな? マジ最低だな。ホントごめん」  言いながら何ともやるせない気持ちになって来て顔を伏せたら……深月がややしてポツンと。 「……でも……将継(まさつぐ)さんは……僕が嫌がったら、やめてくれました……。だから……」 「口でしてくれたんだよな?」  言いにくそうに瞳を揺らせる深月に、私は淡く微笑んで言葉を継いだ。 「さっきさ、軽蔑しなかったか?って聞いてきたけど……好きな子に(くわ)えられて喜ばねぇ男はいないと思わねぇ?」  あえて軽く聞こえるように。  ククッと喉を鳴らすように笑って言ったら、深月が瞳を見開いて真っ赤になった。 「ま、とりあえず……、さ。(わり)いんだけど窓開けてちょい換気してくんねぇかな? この部屋ん中、ウィルスがウヨウヨしてそうじゃね? 綺麗な空気になってから、深月が用意してくれた粥、食わせてもらいてぇな?」
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