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そこまで言って言うべきか否か少しだけ逡巡してから……私は言わずにおくのはフェアじゃないなと判断した。
「私の方こそ……深月の過去を知ってるくせに手荒な真似をして引かれてねぇかとか……結構不安なんだけど」
「えっ?」
「ほら、雰囲気に流されて深月の後ろへ挿入ようとしただろ?」
「……っ!」
「正直なぁ、先生っての? 深月が好きって相手。そいつに嫉妬したんだわ。心があっちにあんならとりあえず身体だけでも……みてぇな? マジ最低だな。ホントごめん」
言いながら何ともやるせない気持ちになって来て顔を伏せたら……深月がややしてポツンと。
「……でも……将継さんは……僕が嫌がったら、やめてくれました……。だから……」
「口でしてくれたんだよな?」
言いにくそうに瞳を揺らせる深月に、私は淡く微笑んで言葉を継いだ。
「さっきさ、軽蔑しなかったか?って聞いてきたけど……好きな子に咥えられて喜ばねぇ男はいないと思わねぇ?」
あえて軽く聞こえるように。
ククッと喉を鳴らすように笑って言ったら、深月が瞳を見開いて真っ赤になった。
「ま、とりあえず……、さ。悪いんだけど窓開けてちょい換気してくんねぇかな? この部屋ん中、ウィルスがウヨウヨしてそうじゃね? 綺麗な空気になってから、深月が用意してくれた粥、食わせてもらいてぇな?」
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