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最後の一押しみたいに自分の布団とぴったりくっ付けるように深月の布団を引き寄せたのは、それとは別の理由からだ。
(本音を言うと私の布団の中に引き入れて……温めてやりたいくらいだ……)
だが、そんなことをすれば、体調がそこそこ回復してきた今、それ以上を求めてしまう気持ちに歯止めを掛けられる自信がない。
(けど……マジな話、腕ん中にギューッと抱き締めてぇんだよなぁ)
理性を総動員すれば、何とか添い寝だけで踏み止まれるだろうか。
(まあ、考えてみりゃぁ前にも一度、そんなことしちまったしな)
一回目の時は、深月が酒に飲まれて私の寝床へ間違えて入ってきた時だ。
(一度も二度も変わんねぇかな?)
グラスを煽って、わざと残っていた水をゴクゴクと喉を鳴らすようにして嚥下すると、そんなことを思って。
私は「よしっ!」と気合いを入れると、迷う気持ちを洗い流すみたいに勢いよく水を出して、使い終わったばかりのグラスをすすいだ。
手を拭って寝室へ向けて戻る時には、曖昧に揺れていた「変わんねぇかな?」という思いは、「変わんねぇな?」という確信めいたものへと変化していた――。
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