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24.不穏な人影【Side:長谷川 将継】
「将継さんは……どういう意味で……僕のことが好きって、言ってくれてるんですか……?」
そんな風に深月から問い掛けられた私は、内心(マジか……)と吐息を落とさずにはいられない。
ここまでしても真意が伝わらねぇとか……本気で愛情の受け取り下手か!と思って。
「もしかしてマジで伝わってねぇの?」
恋の駆け引き……ではないと分かっていながらも、ついうかがうような口調になってしまったのは仕方がないことだろう。
深月が、そんな私の言葉にどこか不安そうな――それでいて何かを期待しているような視線を向けてくるから。
私は口の端を濡らしたままの深月の欲望の残滓を親指の腹で拭ってペロリと舐めてみせると、静かに言い放った。
「なぁ、深月。俺は身体を繋げてぇと思ってない相手の精液を飲むような趣味はねぇよ。深月のことは喉から手が出るくらい抱きてぇ相手だと思ってっから、こう言うことだって平気で出来る。いや、むしろしてやりてぇなって思うんだよ。――なぁ、この意味が分かるか?」
そこで一旦言葉を切って深月を真正面からじっと見据えると、わざと声音をワントーン落として言い放った。
「私は深月のことを恋愛対象として好きだ。何なら好きっちゅーより愛してるって言った方がしっくりくるくれぇだ。――咲江が死んで以来初めてなんだけど? こんな風に誰かを自分の懐深くまで招き入れて……それでも足りねぇ、手に入れてぇって思ったの」
私の言葉に瞳を見開く深月を見て、少し不安になって……。
「なぁ、深月。……抱きたいとか言っといて信じらんねぇかも知れねぇけど……俺はお前を心底愛しいと思ってるし、絶対に傷付けるつもりはねぇ。……無理矢理どうこうはしないって誓うから。頼む。……いなくなったりしないでくれ」
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