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26.深月と同じ立場【Side:長谷川 将継】
石矢恭司のために私が保証人になって借りているアパートは、我が家とは反対方面で……。要するに今いるスーパーは彼の生活圏とは被らない気がするんだが。
深月と買い物を済ませてサッカー台の上で深月と二人、買ってきたモノを袋詰めしていたら背後からいきなり石矢に声を掛けられて、私は正直驚いてしまった。
持ち前の人懐っこさでズケズケと私たちの間合いに入ってきた石矢は、初対面にも関わらず、年上の深月のことを下の名前で呼んだ。
スッと握手を求めてくる様もやけに手慣れていて、人付き合いの余り得意ではない深月が押されまくっているのを感じる。
(マジで勘弁してくれ)
正直そんな石矢の様子を見ていて一番最初に思ったのはそれで。
でも、だからと言ってこんな風にわざわざ外で私に声を掛けてくれた石矢を無下にすることも出来ないのだから、私も大概ダメな男だ。
(深月、すまん)
そう心の中で謝りながらも、私は一応に不平不満を口にしつつ、石矢を夕飯へ招待した。
考えてみれば、石矢は相当マズイ事件を起こしての前科一犯。
服役前に仲良くしていただろう彼の友人たちが、石矢と復縁している気配を感じたことはないし、そもそも石矢がうちの従業員ら以外と話しているのを見かけたこともない。
以前、「休みの日は何をしてるんだ?」と何気なく問いかけた時も、「んー。基本的には家でダラダラ過ごしてます。恋人はおろか、一緒に遊んでくれるような友達もいないんで」と、さらりと言ってのけたことがある。
さして悲嘆したように言わなかったので、「そうか」とだけ返した私だったけれど。
そばで聞いていた教育係の大滝修也が、「石矢、だったら今度俺と服でも買いに行くか?」と声を掛けてくれて、内心ホッと胸を撫で下ろしたのだ。
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