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「あれ? 深月さん不感症? そんなんじゃあ将継さんの相手にされないっすよね? ――欠陥品だなんて」
石矢さんはニヤニヤしながら勝ち誇ったように笑んで、更に痛いくらいに下肢の芯を握りしめられてギュッと目を瞑ったら新たな涙がぼろっとこぼれ落ちた。
暴力を振るわれているだけでも悔しいのに、病気のことにまで触れられて、自分だって『欠陥品』だと思っているくせに他人から指摘されるとこんなにも屈辱的だなんて、と悲しみが込み上げる。
だけど――。
「……僕は……将継さんには欠陥品じゃない……」
挑発するようなその言葉に、石矢さんはますます逆上したように「は!? それって将継さん相手には勃つとでも言いたいんすか? 喧嘩売ってます? 自分の立場、まだわかってないんっすか?」
言って、石矢さんは僕の頭頂部の髪を掴んでぐちゃぐちゃになった顔を真正面から射抜いてきた。
「僕は……暴力なんか慣れてるから……。こんなことされたって痛くも痒くもない……。こんなことで石矢さんの言いなりになったりしない!」
ギュッと唇を引き結ぶと石矢さんは忌々しげに舌打ちをして、今度は強引に僕の双丘に手を伸ばした。
「こっちが反応しないんなら……無理矢理突っ込んであげましょうか? すっげぇ痛いと思うけど、そのくらいしないと深月さんわかんないみたいなんで……」
その言葉に僕はたちまち恐怖に見舞われて、また昔のように身体を暴かれるのだろうかと全身がカタカタと震え始める。
「……嫌だ!」
石矢さんは酷薄に笑いながら「深月さんに拒否権ないんすよね……。ただ、将継さんのそばから離れるって約束するなら許すって言ってるんっすけど?」
いよいよ石矢さんが指で割り開かれた双丘の奥まった場所に触れようとした時――。
玄関が開く音がして。
(――将継さん!)
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