04.拾いネコ【Side:長谷川 将継】

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(あくまでも着替えさせるためだ。下心は捨てろ……)  自分に言い聞かせるようにして身ぐるみを剥がしていくと、薄いわりにちゃんと筋肉の付いた均整の取れた裸体が目の前に現れて。  色白な肌に見合う薄い色付きの中心に、ツンととがった控えめで愛らしい乳首。  伴侶に先立たれてとは長いことご無沙汰なバイセクシャルな(どっちもイケる)男ヤモメには、ビジュアル的にいささか刺激が強すぎた。 (早いところ服着せちまわねぇと理性が持ちそうにねぇな)  だが、矢張りそのまま服を着替えさせるのはちょっと違うかなと思った私は、彼──深月(みづき)の身体に脱がせたばかりのパーカーを着せかけて一旦部屋を後にした。  意識がない人間を風呂に入れるのはさすがに無理なので、熱めのお湯をたらいに張って戻ると、真っ(さら)なタオルをギュッと絞って清拭(せいしき)の真似事をする。  咲江(さきえ)が病気になって風呂へ入れなかったときにも、恥ずかしがるアイツを制して同じように身体を拭いてやったことがあったっけ。 (懐かしいな……)  あまり強くこすると皮膚を傷つけるので、やんわりと撫でさするように汚れを拭き取っていたのだけれど。
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