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ククッと笑うその男――相良――は、普通の人間では到底着ることなんて出来そうにないハイブランドのオーダーメードスーツに身を包んでいた。
いかにもその筋の人間という雰囲気を漂わせているが、それもそのはず。
相良はこの辺りでは知らない者はいないような大きな組で、幹部を務めている男だからだ。
とは言え、私とは旧知の仲。いわゆる幼なじみなのだ。
両親から虐待を受けていた相良を、うちに匿ったりしていただけ。
相良は、あのとき私がいなかったらきっと死んでいたとよく笑って。
その時の恩義を忘れず、今でもこんな風に忠義を尽くしてくれる律儀な男なのだ。
職場に、いわゆる〝ならず者〟と敬遠される人間でも厭わず受け入れられているのは、今回のように何か困り事が起こった時、相良が助けてくれると思える部分も大きい。
***
「さて――」
私はわざと一区切りつけるみたいに声を出すと、
「相良、ちぃーと面倒だが手伝ってもらえるか?」
背後の相良にそう声を掛けて、彼とともに、ベッドで不安気にこちらの様子を窺っている石矢に向き直った。
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ここで!?ってところですみません。
この続きは次の将継ターンまでお待ち頂けたら幸いです。
将継Side担当/鷹槻うなの
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