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相良はそんな石矢には全く頓着する様子もなく、さらに体重を掛けるようにして石矢を呻かせたまま私を見つめてくる。
「なぁ、長谷川。お前、こいつをどうしたい?」
相良の足元。「や、め……てっ」と懇願しながら彼を見上げる石矢のことなんてまるで見えていないみたいに、相良が私だけを見ながら問い掛けてくるから。
私は思わず「深月と……同じ目に遭わせてやりてぇ」とつぶやいてしまっていた。
「了解♪」
途端ニヤリと笑って見せると、相良がそうつぶやいて。
石矢の上に載せていた足を退けると、石矢の髪の毛を掴んで彼を再度ベッドの上に引きずり上げるようにして座らせた。
「さ、ここからは俺一人で十分だし……正直長谷川がいるとやり辛ぇー。……そんなわけで。お前はとっとと可愛い深月ちゃんのトコへ戻ってやりな?」
石矢の横へしゃがみ込むと、怯えたように相良を見つめる石矢の頭をポンポンッと撫でながら言ってくる相良の言葉に、石矢が涙目で「将継さ、お願い。置いて……行かな、いで……」と私に助けを求めてくる。
まだ幼さの残る石矢の顔を見て。
それでも私はそんな石矢にはやった分だけ罰を受けさせて当然だと思いつつも「けど相良――」と、石矢を残して立ち去ることを躊躇わずにいられなかった。
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