33.二人がいい【Side:十六夜 深月】

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深月(みづき)がちゃんと言わねぇなら、このまま身体中オモチャみてぇにくすぐって遊んじまうけど――いいか?」  そろりと大きな手のひらが思わせぶりに背骨を辿るから、いよいよ身体が警鐘(けいしょう)を鳴らし、濡れた唇が(ほころ)んで――。 「……が、いいです……」 「ん?」 「……二人が、いいです。僕と将継(まさつぐ)さんと……二人がいいです。もう、僕の知らない将継さんを知っている人に……会いたくない……」  それだけ呟くと将継さんは目を見開くから。 (は、恥ずかしすぎるっ! 子供みたいな独占欲だ……。呆れられる……) 「ご、ごめんなさい! 変なこと……思って! が、外食でも、家にあるものでも何でも良い……です。将継さんに、従います……!」  言って、彼のそばを離れようとしたらグイッと強い力で腕を引かれて、思わずバランスを崩して再び将継さんの胸に(いざな)われた。 「なぁ、深月――」  どこか低められたその声音に、僕はワガママばかりでいい加減怒らせてしまったかなとそわそわしながら、「……は、はいっ」と胸元でくぐもった返事をすると――。 「――あんまし、を煽んないでくんねぇーか?」
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