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「深月がちゃんと言わねぇなら、このまま身体中オモチャみてぇにくすぐって遊んじまうけど――いいか?」
そろりと大きな手のひらが思わせぶりに背骨を辿るから、いよいよ身体が警鐘を鳴らし、濡れた唇が綻んで――。
「……が、いいです……」
「ん?」
「……二人が、いいです。僕と将継さんと……二人がいいです。もう、僕の知らない将継さんを知っている人に……会いたくない……」
それだけ呟くと将継さんは目を見開くから。
(は、恥ずかしすぎるっ! 子供みたいな独占欲だ……。呆れられる……)
「ご、ごめんなさい! 変なこと……思って! が、外食でも、家にあるものでも何でも良い……です。将継さんに、従います……!」
言って、彼のそばを離れようとしたらグイッと強い力で腕を引かれて、思わずバランスを崩して再び将継さんの胸に誘われた。
「なぁ、深月――」
どこか低められたその声音に、僕はワガママばかりでいい加減怒らせてしまったかなとそわそわしながら、「……は、はいっ」と胸元でくぐもった返事をすると――。
「――あんまし、俺を煽んないでくんねぇーか?」
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