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「深月、俺、もう深月への欲望を押し殺さなくてもいいか? 深月が怖くない程度に少しずつ……深月の身体に触れてっても構わねぇって思ったんでいい?」
「あっ、あの……将継さん……、でも……僕……」
深月は自分の気持ちをどう処理したらいいか分からなくて持て余していると言った。
上手く操れない恋心に支配されて、きっと色々戸惑いまくっている真っ最中なんだと思う。
だけど……。
「でも、は無しだ」
だったら尚のこと、私はそんな深月の戸惑う心をめちゃくちゃに掻き回して私だけのモノにしたい。
「今さっき、さ? 深月、ピザ屋の兄ちゃんが私に触れたの、嫌だって言って狼狽えてくれたじゃん?」
言って、深月の顔をじっと見詰めたら深月がオロオロと瞳を彷徨わせてから……。戸惑いつつも小さくうなずいてくれて。
「それもだけどさ……。深月が……自分が知らない私の知り合いとは会いたくないって言ってくれたのも……全部全部私のことを好きだから……嫉妬してくれたからだと思うんだけど……どう?」
どう?と尋ねながらも、それは「そうだろ?」と断定しているのと同義だ。
なぁ深月。
その苦しい気持ちの正体は、どす黒い嫉妬心と独占欲だと気付けよ。
私のことを欲しいと……。
独り占めしたいと希ってくれ!
そうしてくれたら私は……俺の全てをお前にくれてやると誓うから――。
「遠慮なんてしなくていい。……深月、俺を、欲しがれよ」
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