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耳をむしゃぶられ、喰い荒らされながら快楽の主軸を扱きあげられれば、いよいよ身体が頂点を刻もうと引っ攣れ始める。
耳元で聞こえる将継さんの荒い呼吸が、普段の温和な彼とは全く違う雄の息遣いで、乱れた呼気がたまらなく色っぽくて情欲を煽られていく。
「まさつ、ぐさ……一緒に……ん、っ、一緒に出そ……?」
二人で快楽を分かち合っているのだと、その証のようなものが欲しくて、一緒に達したいのだと懇願すると、将継さんが僕の前髪を掻き分けて優しく口付けた。
「あんまし、……っ……可愛いこと言うな」
「お願いっ……僕、もう、出ちゃ……から……ぁっ、一緒がいい……まさつ、さんも、一緒に――」
「――深月っ」
刹那、僕の熱が弾けたのと同時、将継さんから放たれた飛沫が僕の胸にまで勢いよく飛んできて、それを確認したと共に、互いの身体はぐったりと沈み込んだ。
僕の胸に倒れ込んだ将継さんが、「……腹、ベッタベタだな」と笑って、その身体の重みが泣きたいほど愛おしくて、唇は無意識に「将継さん……好き……」と声を紡いでいた。
その返事なのだろうか、すぐに荒々しいキスで言葉も呼吸も全てを奪われていったと思ったのに――。
「次は、深月の全部くれるか?」
なんて、まだ求められる言葉が返ってくるから。
怖いけれど、涙を拭ってもらえるから大丈夫。
きっと将継さんとなら何もかも越えていける。
「は、い……。次は、全部……もらってください……」
「いつするか後で決めるか? 深月の心の準備のために」
ククッと笑いながら告げられたその言葉も、どこまでも僕を尊重してくれるもので、〝次〟があるんだって思ったら、彼のそばにいることが許されたようで。
「――ちゅーか、〝次〟があるってことは、深月がこれからもそばにいてくれるって都合よく解釈してもいいか?」
(あ、同じこと考えてる)
そんな些細な心の結わえすら、こんなにも嬉しいなんて。
ずっと独りで生きてきて、それが楽だと思っていた。
けれど、彼のために喜んだり、笑ったり、悩んだり、苦しんだり、心を震わされる〝今〟を手に取りたいと確かに求めているから。
「将継さんの、そばにいたい……です」
それだけ呟いたら、心の底から多幸感に包まれて、将継さんの温かな腕に包まれて、一つの壁を乗り越えた充足感に、たちまち意識が白み始めた。
(誰にも、この場所を譲りたくない……)
そんな独占欲と共に、今あるこの手の中の幸せを抱えられるだけ、ありったけ抱きしめながら、眠りの淵へ誘われていった――。
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