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下腹部がまたじん……と疼いて、年甲斐もなくきざし始めているのを感じた私は、小さく吐息を落とすとそのままそっと深月を残して寝室を抜け出した。
そうして、まるで熱を冷ましたいみたいに裸のまま風呂場へ行くと、湯張りのスイッチを入れる。
さすがに汚れたままの深月をあのまま放置するのはよろしくない、と思い直したのだ。
深月を抱きたい気持ちが再燃しそうで彼から離れたくせに、(深月と風呂っちゅーのも悪くねぇな)とか思ったら、口元が自然と緩みそうになって。
(大体、俺、深月の入浴に付き合ったことがないわけじゃねぇし?)
唇を引き締めながら自分に免罪符を与えてみたりする。
だが、あれは怪我をしていた彼の頭を洗ってやるためだったから、今からしようとしていることと比べたら序の口だ。
そう思っていてもなお――。
(ま、なるようにしかなんねぇだろ……)
そんな風。理解していて敢えて気付かないふりを決め込みたくなった。
疲れてうとうとしている深月を抱き上げて、よく分からないまま全身をくまなく綺麗に洗ってやる妄想が止まらなくなった私は、とりあえず……と思ってシャワーコックをひねった。
これからどういう行動に出るにせよ、もう一度だけこの欲望を発散しておいた方がいい。
今、思いついたばかりの〝不埒な名案〟を実行するには、それが必要不可欠に思えた。
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