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現場までの道のり、住宅街を走っている最中に車の前を突如小道から飛び出してきた猫が横切って。「危ねっ!」と思ってブレーキを踏んだら、ススッと滑った携帯が、シートから滑り落ちてどこかに吹っ飛んでいった。
だが、今は運転中だ。
後で拾えばいい。
そう思ってそのまま軽トラを走らせた私は、車から降りる時そのまま携帯を車内に残したまま外へ出てしまった。
すぐに(あ、携帯)と気付いて助手席側へ回ろうとしたのだが、折悪しく住川工業の人が私の顔を見つけて近付いて来て。
清水が事故に遭った件などを話しながら現場へ向かうことになってしまった。
(ひと段落したら取りに戻ろう)
会社へ残してきた田村が何か言ってくるかもしれないし、長いこと電話を放置するのはよろしくない。
そう思いつつも車の中へ取り残したままにして来てしまった携帯が、座席の下の方で『武川さんが来ました。病院へ行ってきます』という深月からのメッセージを通知していることを知らないままにしてしまったことが、後に私を思いっきり悔やませることになる。
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