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通話の着信ではないから一見緊急度は低そうに見えるけれど、深月の控えめな性格を知っている私には、それはすぐさま見なければいけないメッセージに思えた。
受信したのは私がちょうど軽トラに乗り込んだ頃か――。
だとすれば、深月はわざわざ私が出社してそれほど経たずにメッセージを送ってきたことになる。
晴れて恋人になれたとはいえ、こちらの負担を考えすぎるぐらい考えて、滅多なことでは用もないのに連絡なんてしてこない子だ。何かあったに違いない。
セキュリティのためにメッセージプレビューが表示されない設定にしてある私のスマートフォンは、開いてみるまで受信したメッセージ内容の触りすら見えない。
今日ばかりはそんなまどろっこしいことをしている自分を恨みつつ、未読通知をタップしてメッセージアプリを開いてみれば『武川さんが来ました。病院へ行ってきます』というとんでもない内容が表示された。
私はすぐにでも深月に連絡したいのをグッと我慢して、ひとまず清水に電話を折り返して彼の無事を確認すると、大した怪我ではないので明日から復帰できるという。
「すまんが、財間にもそれ、直接伝えてやってくれるか? すっげぇ心配してたから」
清水が色よい返事をくれたのを確認してから、今度は今朝約束した通り、大滝にも電話を掛けて清水の無事を伝えて――。
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