42.私は深月のことを何ひとつ知らない【Side:長谷川 将継】

4/5

681人が本棚に入れています
本棚に追加
/376ページ
深月(みづき)! お前、どこの病院通ってんだよ……!」  私は、深月が世話になっている掛かり付け医はおろか、彼が住んでいるはずのアパートの住所でさえ知らないことに気が付いて愕然(がくぜん)とした。  ――深月。お前から歩み寄って来てくんねぇと、からは何も動けねぇんだけど……!  なぁ、あのメッセージだけで最後なんて言わねぇよな?  ちゃんとに帰ってきてくれるよな?  会って話さないと到底納得出来るわけねぇじゃねぇか。 (は深月を放してやる気なんてさらさらねぇんだけど?)  嫌いになれと言われて「はいそーですか」と諦められるほど、軽い気持ちで深月と向き合っていたわけじゃない。  つい数時間前。  深月と行ってきますのキスなんて新婚夫婦みたいな浮き足だった幸せな時を過ごしたばかりだと言うのに。  やはり〝ただいまのキス〟に残しておくはずだった唇への口付けを、我慢出来ずに奪ってしまったのがいけなかったんだろうか?  求めすぎたが故の帳尻合わせのお預けタイムが今か?……なんて馬鹿げたことまで思い始める始末。 「深月……」
/376ページ

最初のコメントを投稿しよう!

681人が本棚に入れています
本棚に追加