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居ても立っても居られなくなった私は、気が付けば仕事中だと言うのに家へ向かって軽トラを走らせていた。
だが、当然と言うべきか。
帰宅した家の中には深月の姿はなくて……。
おそらく家事の途中だったんだろう。
洗い終わった布団カバーが、濡れたまま洗濯機の中で団子状態になっていた。
深月は、洗濯を干す間すら与えてもらえず、半ば無理矢理武川に連れ出されたんだろう。
「クソッ!」
そう思い至った私は、悪態をつきながら壁を思いっきり拳で殴っていた。
武川が来て、急き立てられるように病院へ行くと言うメッセージを送ってきたとき、深月はきっと、私から助け舟が出されるのを今か今かとソワソワしながら待っていたはずだ。
その時に対処出来ていれば、別れを示唆するような……あんなメッセージを見なくて済んだんだろうか。
そう思うと、後悔ばかりが心の中をぐるぐる巡ってしまう。
「……とりあえず深月がせっかく洗ったコレ、干しとかねぇとな……」
力なくつぶやいて、洗濯機の中から冷えた布団カバーを取り出したら、指先の熱がどんどん奪われて……。
ふと見たら、さっき壁を殴ったときにやってしまったんだろう。
手の甲からにじみ出た血が、深月がせっかく洗った布団カバーを汚してしまっていて。
そのことが、やけに私を不安にさせた。
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