48.離して堪るかよ【Side:長谷川 将継】

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 だが、あれもこれもしてやりたくて堪らないんだから、仕方がないじゃないか。 「深月(みづき)は……私に世話を焼かれるのがイヤか?」  あえて悲しそうに見えるよう眉根を寄せてトーンダウンしてみせれば、深月が慌てたように「い、嫌じゃ、ない、ですっ! その……ちょっと……恥ずかしかっただけで……!」とフォローしてくれる。  深月は優しくて可愛くて……そしてチョロい。  私は心の中で一人ほくそ笑むと、「じゃあ、食事の続きをしようか」と、今度は柔らかく煮込まれた鶏肉をすくい上げた。 「はい、深月、あーん?」  十分冷まして深月の口元に箸をやれば、深月が真っ赤になって口を開けてくれる。 (本当、可愛いな)  そう思ってニヤニヤしていたら――。 「ラブシーンの最中悪いんだが、ちぃーと邪魔させてもらうぞ?」  スライドドアが薄く開いた、コンコンとわざとらしくノック音が響いた。  見れば、半分ばかり開けられた引き戸の隙間から、相良(さがら)がヒョコッと顔を覗かせていた。 「相良、お前なぁ、ノックは戸ぉしろよ」 「えー? 今のって俺が悪いわけ? 病室でイチャついてる方が問題ありだと思うんだがなぁ?」
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