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ククッと笑いながら私と深月を意地悪く見比べるように視線を流した相良に、深月が落ち着かないみたいに瞳を揺らせて、助けを求めるみたいに私をじっと見つめてきた。
「ああ、深月。警戒しなくて大丈夫だ。見た目はこんなだが、こいつは私の幼なじみなんだ」
「こんなだがって……どんなだよ」
相良がすぐさま私の言葉に悪態をついてきたけれど、私はそれを黙殺して深月のケアに全力を注いだ。
手にしていた器と箸をベッドテーブルに置いて深月の右手をやんわりと包み込んで、ぽんぽんと撫でる。
「おさな、なじみ……?」
「ああ、ガキの頃からの腐れ縁だ」
私の言葉を受けるように、「相良京介だ。今そいつが言ったように、そこにいる長谷川とは小学生の頃からの付き合いだ。――ってなわけで、よろしくな、深月ちゃん」と手を差し出してくる。
相良の手は、私から見ても武骨で大きくて、男らしさに溢れていた。
喧嘩を沢山してきたからだろうか。
私の手よりも手の甲がゴツゴツと骨ばって見える。
それが突如ヌッと差し出されて、深月はちょっとだけ気後れしたように身体を揺らせた。
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