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密着した唇はもう解けないんじゃないだろうかという程に固着して、将継さんの僕よりも長く肉厚の舌が翻弄するように口腔の奥深くを探るから、胸が詰まって、彼の背をトントンと叩く。
けれど、将継さんは僕の舌を放してはくれなくて、まるで視線で弄るような、何もかも見られ、晒されているかのようなキスを続けるから、心が裸にされてしまったような心許なさを感じる。
「ふっ……う……まは、ふ……」
更に抵抗するように、今度は胸を押しやったら、一瞬唇が離れた合間に「深月ん中、全部掌握したい」と、吐息を唇に吹きかけてくるから。
「も……将継さ……の、もの――」
言い終わる前にまた唇を塞がれ、舌に飽きたように、頬の粘膜を、歯列を、歯肉を、上顎を縦横無尽に将継さんの優しいかたまりが這い回って、ぴりりと日本酒の辛味がする舌は僕まで酔わせたのだろうか。
こめかみがツキツキと疼き、身体が浮遊する。
言葉が紡げないのを了承と捉えられたのか、将継さんは唇への愛撫をやめないまま、僕のカットソーの裾からひやりと冷たい手のひらを這わせてきた。
腰を撫でる手つきはどこまでも妖しく、快楽の火種を焚きつけるように、ススッと指先が小さな胸の突起に触れてびくんと身体が跳ねる。
やっと口接を解いた将継さんは、僕の首筋をぺろりと舐め上げ「ちぃーとしょっぱいな」なんて呟くから、僕は身の置き所がなくなって「お風呂……入りたい……」とこぼしたら、「深月の匂いのまんまがいい」と、首筋を吸い上げて朱い花が咲く。
「……ん、恥ずかしい……です」
「捨てちまえよ。羞恥なんて。気持ちよさでなんも考えらんなくしてやっから。深月はただ俺に感じてりゃーいい」
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