50.今だけ許して、神様【Side:十六夜 深月】

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 座卓の上で再び将継(まさつぐ)さんのスマートフォンが着信を告げるので、彼は「うるせぇなぁ」と言いながら、僕の身体の上から身を退けて電話に応答した。 「相良(さがら)、お前なぁ、ちったぁ空気読め」 (また相良さん……?)  電話の向こうで相良さんが何か揶揄(からか)ったのだろうか、将継さんは唇を尖らせて「深月(みづき)とラブラブしてんのー」とぼやいた。  と――。  途端真剣な顔になった将継さんが、「何?」と眉根を寄せるのを見て(どうしたんだろう?)と僕はそわそわしてしまう。 「……わかった。とりあえずそっちは頼んだ。また連絡する」  電話を切った将継さんが小さく吐息を落として、乱れた僕のカットソーを綺麗に元通りにしてくれるから、熱を持っていた身体を持て余しつつも「……将継さん?」と顔を覗き込んだら彼はポンッと僕の頭に手を載せてきた。 「悪い、深月。激情のまま深月食っちまうにはまだ早すぎるみてぇだ。私も大人気ねぇなぁ。風呂入ろうか?」  優しく笑んだ将継さんに僕は思わず眉根を寄せてしまった。 「将継さん……大丈夫ですよね?」 「深月はなんも心配するこたぁーねぇから。この続き、今度こそ全部貰っていい?」 「……はい。恋人、だから……僕の全部、将継さんのものです」
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