674人が本棚に入れています
本棚に追加
/371ページ
座卓の上で再び将継さんのスマートフォンが着信を告げるので、彼は「うるせぇなぁ」と言いながら、僕の身体の上から身を退けて電話に応答した。
「相良、お前なぁ、ちったぁ空気読め」
(また相良さん……?)
電話の向こうで相良さんが何か揶揄ったのだろうか、将継さんは唇を尖らせて「深月とラブラブしてんのー」とぼやいた。
と――。
途端真剣な顔になった将継さんが、「何?」と眉根を寄せるのを見て(どうしたんだろう?)と僕はそわそわしてしまう。
「……わかった。とりあえずそっちは頼んだ。また連絡する」
電話を切った将継さんが小さく吐息を落として、乱れた僕のカットソーを綺麗に元通りにしてくれるから、熱を持っていた身体を持て余しつつも「……将継さん?」と顔を覗き込んだら彼はポンッと僕の頭に手を載せてきた。
「悪い、深月。激情のまま深月食っちまうにはまだ早すぎるみてぇだ。私も大人気ねぇなぁ。風呂入ろうか?」
優しく笑んだ将継さんに僕は思わず眉根を寄せてしまった。
「将継さん……大丈夫ですよね?」
「深月はなんも心配するこたぁーねぇから。この続き、今度こそ全部貰っていい?」
「……はい。恋人、だから……僕の全部、将継さんのものです」
最初のコメントを投稿しよう!